迷霧
第5章 5
「空くん、いつの間に……。いくら玄関が開いてるからって、勝手に人様のもの食べたらだめよ。窃盗罪で訴えられるわよ」
恵美さんが空くんをやんわり叱る。
どうやらみんなの目を盗んで持ってきたらしい。
「え~それを言うなら恵美ねーちゃんだって、勝手にトイレに入ってったから住居侵入罪じゃん!」
「は……はあ~? 借りるのと勝手に物を盗むのとはわけが違うわよ!」
「ここにも紙のあるトイレがあったんやな! しかも食糧まで! 助かるわ~」
朱里さんのは論点がずれてるような……。
というか、恵美さんと空くんの言葉でドキッとした。そうだ、いくら廃墟とはいえ、勝手に入ったら罪になるんだよな。
マネキン、下ろさない方が良かったかも……。
「やっぱり、あとの四軒も無人だったんですね?」
「はい……。いくら呼び掛けても住民の返事はありませんでした。玄関が開いているのはこの赤い屋根の家だけで、部屋の中はボロボロだし、生活感もなく、まるで──」
「廃墟、か……」
恵美さんが空くんをやんわり叱る。
どうやらみんなの目を盗んで持ってきたらしい。
「え~それを言うなら恵美ねーちゃんだって、勝手にトイレに入ってったから住居侵入罪じゃん!」
「は……はあ~? 借りるのと勝手に物を盗むのとはわけが違うわよ!」
「ここにも紙のあるトイレがあったんやな! しかも食糧まで! 助かるわ~」
朱里さんのは論点がずれてるような……。
というか、恵美さんと空くんの言葉でドキッとした。そうだ、いくら廃墟とはいえ、勝手に入ったら罪になるんだよな。
マネキン、下ろさない方が良かったかも……。
「やっぱり、あとの四軒も無人だったんですね?」
「はい……。いくら呼び掛けても住民の返事はありませんでした。玄関が開いているのはこの赤い屋根の家だけで、部屋の中はボロボロだし、生活感もなく、まるで──」
「廃墟、か……」