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迷霧

第2章 2

 緩やかなカーブが続く峠道を気持ちよく走っていると、後方から赤いスポーツカーが追いかけてきた。
 チャラ男──鈴原さんの車だ。
 助手席には凛音さんが乗っている。


「すっげぇ、威圧感……」


 オレはヘルメットの中でぼやいた。
 スポーツカーはマフラー音を響かせながら、オレのバイクの後ろにピッタリくっついてくる。
 しかしカーブに差し掛かると、少し離れていく。たぶん、運転はそんなにうまくない。
 ちらりとミラーを見ると、助手席に座っている凛音さんが不機嫌そうな顔をしていた。
 

 ──二人はどんな関係なんだろう。
 そんなことを考えていると、前方にトンネルが見えてきた。
 スポーツカーがライトをつける。ハイビームだ、嫌がらせだ。オレはムッとして、少しアクセルを開けてみた。


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