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迷霧

第2章 2

 オレがスピードをあげると、影山先輩もスピードをあげた。
 やっぱり先輩も眩しかったみたいだ。けれどもスポーツカーは簡単に追い付いてきた。


「くそっ……カーブで離してやる!」


 トンネルを抜けると、眩しい光が飛び込んできた。と同時に、気温がぐっと下がったような気がした。


 視界がなんとなく白っぽい──霧?
 オレも先輩も徐々に速度を緩めた。
 トンネルを抜ける前は青空が広がっていたのに……こうも変わるのか?
 ミラー越しにスポーツカーを確認したが、二人の姿はあまりよく見えなかった。


 初めての霧の中での走行で、オレは少し緊張した。霧はどんどん濃くなっていく。影山先輩の背中が段々見えにくくなってきた。
 バイクのテールランプだけが頼りだ。
 それは後ろのスポーツカーも同じらしく、必死にオレのバイクのあとにくっついていた。追突されないかとヒヤヒヤするほどに。


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