LIFE
第10章 I miss you *別れの時*
キィ…
音が鳴って二宮くんが顔を上げた。
階段の横に体育座りで丸まってる。
「…逃げないの?」
「…うん。
もう疲れた。」
俺を見上げる二宮くんの顔をじいっと見てしまって。
久しぶりに見た気がして。
やっと会えた。
少しずつそぉっと近づく。
「やっと見つけた。」
「…見つかっちゃったぁ。」
へへっと笑うと膝に顔を突っ伏した。
ジリジリと近寄って二宮くんの上履きに俺のをくっつけて同じように向き合って座る。
伏せる前の顔を思い浮かべていた。
捨てられた仔犬みたいな瞳してたな。
涙の膜を張った瞳。
…ごめん。
ごめんね。
くっつけてたつま先を離すと足を左右に広げてジリジリと詰め寄る。
体育座りの二宮くんの丸まった背中に腕を思いっきり伸ばして抱きしめた。
「ごめん。
ちゃんと言わなくて。」
「…。」
二宮くんの肩が震えて聞こえてきたのは鼻をすする音。
「ごめんね。」
ごめんねしか言えないなんて。
俺はバカだ。