
舞子のえっちな日記
第2章 舞子の会社での姿
長い黒髪をうしろで結ぶ。
顔を洗って、タオルで拭いて
化粧水をつけたら
ファンデーションをポンポンと叩く。
ほんのすこしだけ眉を書いたら
私の化粧は終わる。
洗面台の大きな鏡に映る自分。
いつ見ても嫌いな自分だ。
黒いトップスに灰色のカーディガンを羽織った、
23歳にはとても見えない自分。
そんな自分から目をそらして
ソファーに用意された
赤いカバンを肩にかける。
「稲垣さんって、
カバンだけは
あんなに派手なんだよね〜」
「よくあんな真っ赤なの持てるよね、
あんな見た目なのに。」
このカバンを持つたびに
同僚が頭に浮かび、
私への冷たい言葉が突き刺さる。
もう慣れっこ。
だからいいの。
真っ赤なカバンと
大きな紙袋を持って小さな部屋を出た。
