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となりのアイツ AN

第10章 新生活4 かずくん

4-2

黙ったまま 買ってきたものを 冷蔵庫に入れ続ける俺に 
まーくんも話しかけて来ず、二人で黙々と作業をする。


まーくんからしたら 俺は 突然機嫌が悪くなった 
わけのわかんない奴…

こんなんじゃダメだ…大きくため息をついて息を吸い込む。

「ごめん」
「え…」

「ワケわかんないよな…急に機嫌悪くなって…」
「ううん。俺がなんかしたんだよね?知らないうちに…。俺、何したかなぁ…って今考えてたとこ…ごめんね?」

「違うよ、まーくんは悪くない、俺が勝手に…」
「…うん?…どうしたの?」

「……」
「あ、言いたくないならいいよ」

「……」



言いたいよ。
まーくんが好きだから、さっきの買い物の中身を知ってショック受けたんだって。

全然女っけなかったみたいだったのに
いつの間にそんなもの買うほど
好きな子できたんだよ?

そんなの用意するってことは
必要なシチュエーションが近いってことだろ?

もう付き合ってるってこと?
それともこれからだけど自信あるってこと?


あの日、ガラス越しにまーくんもキスしてくれたのはなんだったの?

俺に同情したの?
可哀想な奴だって、

男同士でそんな気ないけど ガラス越しならまぁいいか、って…



「同情」

…自分で思いついたその言葉に自分で傷ついた。

本気で胸が痛い。

永遠に片想いだって覚悟してた時よりずっと苦しい。



あんなことしなけりゃよかった。
神様、あの日に時間を戻して…。



でも、ホントはわかってる。

きっと何度時を戻されても俺はあの時と同じことをしてしまうだろう。


あの時はあの時で、俺はもうギリギリで…
胸が痛くて苦しくて…息をするのも辛かった。



何度生まれ変わっても 
きっとまーくんを好きになるのと同じように、
何度時を戻してもらっても 
きっと俺は同じことをしてしまうんだろうな………。



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