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となりのアイツ AN

第14章 一歩1 かずくん

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だけど。

まーくんはそれ以上何も言ってくれない。

俺は泣きたいような気持ちになってまーくんの顔を見る。

まーくんも俺の顔を見る。


どうするの?

どっちがこの後の言葉を続けるの?

どっちがこの、止まった時間を再び流し始めるの?

それはどっちに向かって?

それはどんな色で、どんな流れなの?



永遠とも思えるような時間の後、まーくんが明るい笑顔で言った。


「・・・なんちゃって・・・」




全身の体温がスっ、と下がって・・・止まっていた時間が流れ始める・・・。




「・・・ばっかじゃねーの・・・」
「はは・・・びっくりした?」

「固まってボール落としちまったじゃん。今の無しな、ノーカンだからな」
「うん・・・・・・ごめんね」

「人をドン引きさせるようなこと言って 動揺誘うなんてずるいんだよ・・・」
「・・・ドン引き・・・」

「ボール探してくる」



ボールを探して茂みの下を覗き込むと、堪えていた涙がぼろぼろと溢れた。

俺、なんでこんなこと言っちゃうんだろう・・・?

なんでもっと素直に、すぐに聞けなかったんだろう?
「好きって、どう言う意味で言ってるの?」って・・・

それよりいっそのこと飛び込めたらよかったのに
「俺も好きだよ」って・・・



だけど言えなかった・・・

まーくんが悪いんだ・・・
もっとはっきり言ってくれないから・・・
すぐに打ち消すようなこと言うから・・・





・・・・・・最低だな、俺・・・・・・

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