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第10章 拉致

「華…おいっ!華っ!!」
俺は華に皮のジャケットを被せ抱き上げた。後から警察がバタバタと入ってきた。俺は一刻も早くこの場所から華を連れだしたかった。ホテルのロビーには何事かと野次馬が集まって来ていた。フロントに救急車の手配を頼むと、俺はロビーの隅に華を寝かせた。警官達が次々とやってきたので、大声で逃げていく犯人たちを指さした。

「華!しっかりしろっ!」

…身体が少し冷たい。

胸に耳を当てると、ゆっくりと心臓の鼓動が聞こえた。何度も揺さぶるが、全く目を覚まさない。段々と青白くなる華の顔。

「おい!息をしろっ。」

呼吸をしているのかしてないのか判らなかったが、
俺は気が付くと人工呼吸をしていた。華の顔には俺のドーランがべったりと付いたが、身体はぐったりとされるがままになっていた。リツと、華の父親がやってきた。父親は何も言わずロビーの壁にあったAEDを持ってきた。手早くそれを付けると、必要なしとアナウンスが流れた。

「人工呼吸続けてくれる?」

次々に運び出される女性の様子を父親は見て回っていた。どの女性も動けなかったが、頷いたりは出来るようだった。心電図の機械的な音が聞こえる。リツはただ茫然と華を見つめていた。救急隊が駆けつけると、意識が無い華を運ばせた。

「●●病院へ運んで下さい。僕が務めている病院です。リツちゃん一緒に救急車へ乗って!」

救急車は割れんばかりの音を出しホテルを出た。警察に事情を話す黒田を俺はずっと待っていた。

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