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第26章 キスの続き

「ありがと♪」

「別にお前のためじゃねーって言ってるだろ?」

空があたしの肘を押したので、ふらりとした。

「ちょっとぉ~。」

「俺らの歳で婚約だなんて考えられるか?」

空はぽつりと言った。

「本人同士がそれで良ければ良いんじゃない?」

「でもさぁ…まだ学生のうちにだぜ?これからいい女にいっぱい出会えるかも知れねーのに。真啓は馬鹿だな。まぁ華ったれが好きだと言った時点で、あいつのストライクゾーンがワイド過ぎることは判ってたがな。」

空はあたしの顔を意地悪く見ながら笑って言った。あたしはそんな挑発に乗る元気すら今は無かった。

「あたしはいっぱいの出会いなんて要らないから、本当に好きな人と一緒に過ごしたいな。」

「本当にそれで良いのかよ?」


正直自分でも判らない。

「実はね、何人かに告白されたの。」

同じ学年の男子にもこの間告白されたばかりだった。

「うはぁ~そいつらの美的感覚を疑うぜ全く。」

…いちいちムカつくことをいう奴だ。

「一番居心地の良い人と一緒に居ることに決めたの。その人の事が好きかどうか分からない。だけど、あたしのことを何度も助けてくれたの。」

空は黙ってあたしの言葉を聞いて居た。

「好きかどうかも判らないのに付き合うなって失礼だなって思う。けど良い人なんだ。ずっとあこがれていた人だったし、優しいところが沢山あって。」

年上だし、沢山苦労もしてきたろうし、社会に出ているからかユウヤはとても大人びている。そんなところにもあたしは惹かれていると言うより、憧れている。

「どんなブサメンか、楽しみだな。今度連れて来いよ。」

空が笑った。

「なんであんたにわざわざ彼氏を見せに来なくっちゃいけないのよ。」

あたしは空とこれ以上話をしたくなくてそっぽを向いた。

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