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第29章 あたしの知らないみんな

「あたしは女だから判らないけど、男の人って好きでも無いのにそういう事出来るのかなぁと思ったの。」

「出来るんじゃね?」

「空も出来るの?」

「うん♪可愛い子なら余裕。」

…こいつに聞いたあたしが馬鹿だった。

「最低…。」

「お前さ人に聞いといて、最低とかって言うなよ。」

「ごめん…そうだよね。」

あたしは日差しで生暖かい手摺に頭を付けた。

「したいならしたいってユウヤに言えば良いんじゃね?」

「ううん…興味はあるけど怖い。」

あたしは慌てて否定した。

「じゃぁ相手にそう言えば良いんじゃないの?それで嫌われるとかだったら、それだけの男だったってことだよ。」

「あ~あ。あたしが知らない所でみんながどんどん大人になって行く気がするんだよね。」

あたしはため息をついた。

「別にそんなに焦らなくても良いんじゃね?焦ってするもんでもねーだろ?…って何でこんな話してんだ?」

空がちらりと携帯で時間を確認した。

「そうだよねぇ…なんであんたなんかにこんな話しちゃったんだろ…やっぱ駄目だ…病んでるなあたし…。」

そろそろ休憩時間も終わる。あたしは空を置いて先に教室へと入った。

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