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楔 ---KUSABI---

第1章 壱・白羽の矢

「今から孕ませてやるよ。
ガキ仕込みゃ、嫌がるだろ。神ってのも」

いつの間にか、脚を開かされ、入れる寸前。

『これ以上、汚すでない』

・・・で、幻聴のような声が脳裏に直接届き、
部屋の中だというのに、突風が吹いて、蒼だけ吹っ飛ばされた。

直後ドンッという音がし、壁か何かにぶつかった音がした。
私は自由に動けるようになったので、
立ち上がり裾だけは直した。
衿は蒼に広げられたままで、乳首は辛うじて隠れ、
乳房が着物の外に零れそうなくらい露な状態だったが、
姿を気にする気持ちなど一切なかった。

「ゴホッ・・・お前の、ゴホゴホッ・・じゃ、ねぇッッ!」

蒼は咳き込みながら、苦しげに声を絞り出し、
背後で喚いている・・・みたい。
でも再び私を捉えようとも、孕まそうともすることはなかった。

全ては、声の主だけに集中していて、
蒼が吹っ飛ばされてどうなったかなんて、
気に留める気持ちは一つも沸かず・・・。

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