テキストサイズ

楔 ---KUSABI---

第2章 弐・違う世界

目を開けると・・・薄暗い部屋の中に横たわっていた。
早朝か、夕方の雰囲気に感じた。

明らかに見知らぬ部屋。
顔を右に向けると、庭師が施したと思われる立派な庭が
縁側の外に広がっているように見えた。が違和感を一つ
言うなら、深い緑一色の統一感。まるで作り物の様な。
空の色は青くなく、どちらかというと白んでいて
何となく、空気の匂いが違う気がした。
空気が何故か甘ったるい?気がする。気のせいだろうか。

ほんっと久々に頭がすっきりしている。
あの弓で射られた時から、四六時中靄がかかっていて、
おまけに凄く眠かったから、
夢か現か定かじゃない微妙な世界の中で過ごしていたから、
今の靄のかかってないすっきり具合は、妙に清々しい。

・・・ただ一つ。蒼の事が、一瞬脳裏に浮かんだけど。
それは一瞬で、シャボン玉が直ぐはじけて消えるように
脳裏から即消えた。

寝かされている布団にかけられていたものは薄布一つ。
けれど、寒さを感じなかった。
・・・そして今気が付いたのだけど、
私、服を着て、いな、い。

「・・・っ」

悲鳴を上げそうになるのを必死に抑えた。
何か身に着けていない?と手で触って確認したら、
首に巻き付いている紐?らしきものが
巻き付いて引っ張っても離れない状態になっている事だけ
確認できた。
足首にあった鈴さえも、今はない。

でも首に巻き付いた首輪状態の紐だけなら、
私は裸で寝かされていたことに変わりが、ない。

羞恥心が一気に襲う。
誰に脱がされ、た?

身体を恐る恐る起こす・・・裸だと解っているので、
掛けられていた薄布を巻き付ける。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ