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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

 純化はそれを聞いても、まったく理解できなかった。


 プーロンは全身から霧を放出させ、なおかつ手から放たれる赤い気が、倒れている闇の神仏達に注がれていた。


「かわいそうにのぅ、お前達……いま、起こしてやるからな」


「チッ、余計なことをしやがる」と、その様子を見ていた勇樹が言った。 


「て、ことは、また暴れていいってことか? 上等。やつら、ボッコボコにしてやんぜっ!!」


 闇の神仏が起き上がるということは、また得意の肉弾戦がはじまるということ。コウヤはパチンと拳を叩いた。


 やがて、空がプーロンの出す霧によって、黒くにごりはじめる。


 倒れていた闇の神仏も、ムクムクっと起き上がってきた。


 最初に立ち上がったのが、万手観音だった。


 それに、立ち向かって行ったのが、莉子だった。


「私も、ワルだった頃を思い出したよ。さっきまでちょっとビビってたけど、キュウもやってんだから負けられないよね」


 そう言いながら、万手観音の顔に肘を当てていった。


「無駄だ、わての気を吸収した神仏どもは、人間とは比べ物にならんほどの力を発揮することができる」


 プーロンはそう言って、さらに、己の力を高めた。


「ふ〜ん、こいつらさらに強くなるのか。面白いじゃねえか」


 勇樹は余裕の笑みを見せ、キツネ人間に立ち向かった。


 輝は、とりあえず休憩していた。最初に闇の純化に体力を奪われていた分、スタミナの消化が激しかったからだ。


 プーロンは球也に目を向けた。


「お前は散々、わてをこけにしくさったからのぅ、先に始末してやるわっ!!」


「えっ!? マジな想定外」


 球也は後退りする。


 プーロンは左手をグッと握り、虫のように潰すつもりだった。


 そして、大きく腕を振り上げた。


 だが、そこから降り下ろせない。


「な、な、なんじゃっ!?」


 プーロンは焦りだした。しかも、己の左手は首もとにまで自分の意思とは関係なく動いている。



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