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修練の鏡と精霊の大地

第20章 ラスボス

「おい、この子、誰だ?」とコウヤが近付いてくる。


「僕はわかった。この子、ラッキオや」


 球也はその女の子をラッキオと呼んだ。


「ラッキオは、僕が最初に入った村にいた女の子なんや。たしか、この子も人間と妖精の子供で、あのヌカーが人間の遺伝子を持つ者はいらん言うて、殺したはずなんや」


「殺したって、生きてるじゃねえか……あっ!!」


 コウヤはわかった。


「そうか、純化と同じパターンか!! 死んだのは妖精の魂のみで、人間の部分は生きてるってことか!!」


 全員、納得だった。


『おーい、おーい』


 どこからか声がした。


『おーい!! 誰か出てよ!!』


 どうやら、鏡からだ。


 勇樹が鏡を覗いてみた。


「なんだ、てめえかっ!!」


 少し呆れ顔で言った。


 鏡に写っていたのは晴幸だった。


 晴幸とは、妖精の世界で勇樹と一緒に旅を共にした仲間の一人で、数時間前にこのメンバーと集結していた。


「なにしてんだ?」


『こっちを襲っていた怪物どもが消えました。後の二人は無事ですが、クタクタになってて……』


「わかった、もういい。こっちでボスは倒したから」と勇樹は、あたかも自分が倒したかのように言った。


『マジっすかっ!! すげぇ、やった……』


 映像が切れた。おそらく、向こうで誤って鏡を落として割ってしまったのだろう。



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