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時を越えて

第1章 時を越えて

いよいよドラマの撮影が始まった。

(若い頃は、演劇部で舞台に立った時はあまりドキドキしたりあがったりしなかったのになあ
何年間経って臆病心ができたかも……今になって…)

出る番が刻々と近づいてくるにつれ震えが襲ってきた。

その時。誰かの手が私の手に優しく触れて握りしめてきた。

私はうつむいた顔を横に向けた。

その手は奨の手だった。

「大丈夫だよ。君ならできるよ」と強く私の手を握りしめていた手を離し奨は自分の出番へと出ていった。

いつの間にか震えは止まっていた。

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