
Perfect Romance
第10章 Happiness
「で、どこに行くの?」
走り出した車は、西に向かっている
ナビには何も入れてないから、まだ行き先が分からない
「んー…ちょっと迷ってるんだ」
「え?」
「行きたいとこ、2箇所あるの」
そう言いながらも、最初に行く場所は決まってるみたいで
相葉さんは迷う事なく国道から細い道にウインカーを出した
どこに連れていかれるか分からない以前に
今、場所の名前を言われても絶対分からないだろう
だからもう、俺も運転する相葉さんに全てを任せる事にした
相葉さんの運転は滑らかで、心地好くて
…さっき電車で寝ちゃったにも関わらず知らず欠伸が出てしまう
「眠くなった?」
相葉さんがクスクス笑った
「でも、後10分もすれば着くよ?」
"だから、我慢してね "
俺の右手を握っていた相葉さんの左手が、それを持ち上げて
軽くシートの上でポンポンと跳ねさせた
そう
約束?通り相葉さんは車に乗ってから
ずっと手を繋いでいる
カーブが多いから離そうとしても
そうなったらそうなったで俺の手ごと、ハンドルに持っていって
到着した時には左手はすっかり赤くなっていた
