
Perfect Romance
第11章 飲み過ぎにはご用心
「お、サンキュー」
俺からカップを受け取った櫻井さんが、フーフーしながら一口、口にした
「ぶっ!なんだこれ!」
途端に顔を歪ませてカップを離す
「俺の愛情入りです」
櫻井さんの言う『可愛い仕草』で
にんまりと小首を傾げて見せた
櫻井さんがカップをテーブルに置く
" さすがに飲めねぇよ " と自分で新たに入れに行こうと席を立った
「俺、行きますよ?」
「信用できないからいい」
「可愛い部下なのに…」
「可愛くないわ!」
「さっき可愛いって言ったくせに…」
ここで櫻井さんが吹き出した
そして
「お前が初めてだよ、こんなふざけるの」
何だか少し嬉しそうな顔で俺を見てから
櫻井さんは、ドリンクコーナーへと足を向けた
残った俺は、自分の無糖のコーヒーを口にする
安っぽいコーヒーも、気分が楽しいと美味しく感じるから不思議だ
今は、櫻井さんとの外回りが楽しくて仕方ない
多分会社の誰も知らない、素の櫻井さん
それを知ってる俺は、ちょっと優越感に浸れた
