
Perfect Romance
第12章 我が儘でもいいから
タイムリミットが近付いた
そろそろ戻らないと、大ちゃんに迷惑が掛かる
スマホがないから、流しのタクシーを掴まえるしかなくて
会社の前から移動しようと踵を返した時
「…相葉さん?」
会いたい気持ちが大きすぎて、幻聴まで聞こえちゃってるよ
本当、バカだなぁ…って足を進めようとしたら
「相葉さんってば!」
…また、声が後ろから聞こえた
どうせまた空耳だろ、なんて思いながら
のろのろと振り返ると
まさかの、かずの姿がそこにあった
「かず…」
「何してんの、こんなとこで」
相変わらずぶっきらぼうな物言い
「良かった…っ!」
「え?」
「やっと会えた…」
我慢してた涙が溢れだした
かずが慌てて俺の手を引っ張ると、人気のないビルの横に走り出す
「…泣かないでよ、恥ずかしい」
かずが、自分のハンカチでぐいぐいと俺の目許を擦った
「だって…ずっと、電話もメールもシカトしてたじゃんか…」
この言葉に、かずが唇を噛み締めた
