
Perfect Romance
第14章 今日だけはライバル
今さら足掻いたところでどうにもならないし
だけど逃げるなんて事は許されるはずもない
腹を括る以外の選択肢は…あるわけない
盛り上がる応援席を横目に溜め息を吐いて
俺は相葉さんと一緒にスタートラインに立った
薄いピンクの、いかにもコスプレなナース服
足には白いストッキングを履かされている
頭には肩下までのウィッグを被り、ナースキャップを付けた
メイクは薄めに
…ただ、目はやたらと色々された
睫毛がやたらとクルンと上がって、アイラインまで引かれた
遠目なんだからいらないだろって思ったけど
メイクされながら「目が大事!」と威圧感たっぷりに言われれば、反論も許されず
つまりは櫻井さんの思い通りの「ナース」が出来上がり
「かず、俺の腕組んで」
「なんでよ」
「んー…独占欲?」
相葉さんが困ったように笑った
「…冗談抜きで、こんな可愛いかず、誰にも見せたくない」
さっきと同じ台詞だけど
声のトーンが違う
だって顔が、少し強張ってる
相葉さん、本気だ……
