テキストサイズ

Perfect Romance

第17章 新たな決意


40分くらい走って、見えてきたちょっとした住宅街

その中の1軒が俺の生まれ育った場所

家の手前の路地で止めてもらい、正直重い足取りで実家の小さな門をカチャン、と開ける

鍵は一応持ってはいるけど、何となく開けにくくて
とりあえず玄関のチャイムを押した


『はい』
程なくして応答の声が聞こえる

「あ、和也です…」
つい、他人行儀になるのは仕方ない

だけど

『かずくん?!』
インターホンに出た母は、俺と分かった瞬間
物凄い勢いでそれを切り
外にまで響く程の足音を立てて、乱暴とも言える仕草でドアを開けた


「あ、…ひさ、しぶり」

上手く言葉が出ない
…だって、俺はこの人から逃げたから

俺の顔を見た途端、母さんは泣き崩れた

「え、ちょっ…」
「ああ、和也…すまんな」

戸惑う俺に、少し苦笑気味の親父が奥から顔を出す

「今日、来るって知ってから…ずっと落ち着かないんだ」

子どもみたいに泣く母さんを、後ろから抱き起こした親父は “とにかく中に入れ“ と未だ玄関に立つ俺にぎこちなく笑い掛けた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ