
Perfect Romance
第18章 あ・き・す・と・ぜ・ね・こ
「雅紀ぃ!行くぞー」
「待って待って!」
鞄を持った大ちゃんが、振り返りもしないで歩き出す
最近の大ちゃんはやたら仕事熱心で
午前も午後も、取引先とのアポを取っていて
パートナーかつ、先輩でもある大ちゃんに
俺はただ従うしかなくて
…振り回されてる感、半端ない
だけど
確かに仕事モードの大ちゃんは、普段の姿からは想像付かないくらいに頼もしい
それこそ、“憧れる“ と言えるかもしれない
「ありがとうございます。…では明日、14時にお伺い致します」
いつもの滑舌の悪さは何なんだ
はっきりきっぱり喋れてるじゃんか!
…ってのは、勿論口にはしない
だって本当にカッコいいから
まさに「出来る男」にしか見えないし
が、
「うぇ~い!今日の分終了っ」
1日の、やるべく仕事が終わってしまえば
途端にいつもの大ちゃんに戻る
その切り替えの違いは、未だに俺も上手く掴めない
いそいそとスマホを取り出した大ちゃんが、ニコニコしながらそれを耳に当てる
「あ、翔ちゃん?…うん、終わったー」
…目の前でいちゃつくな!
