
Perfect Romance
第23章 Perfect Romance
「…お疲れさまです」
無表情で、鞄を持ち上げ
誰と目を合わせる事もなく会社を後にして
何処に寄る事もせずに真っ直ぐに帰る
真っ暗な部屋
散乱した書類と、床に散らかったアルコールの缶
寝るだけの部屋は、うっすらと隅に埃もたまっている
何もしたくない
…したくないけど、何かをしてないとおかしくなりそうで
自分を保つ為に仕事だけに没頭した
…翔ちゃんじゃないけど、今の俺には
皆が一線置くようになって
部屋は滅茶苦茶だけど、会社では “出来る自分“ を演じていた
それこそ、俺がもしも俳優ならアカデミー賞ものだと言うくらい
あの日
突然かずがいなくなった日
連絡が付かない事に違和感を覚え、かずのアパートに急いで向かった
電気も何も付いていない部屋
チャイムを鳴らしても何の応答もあるはずはなく
たまたま帰ってきたお隣さんから聞いた一言
「二宮さんなら、引っ越しましたよ」
目の前が真っ暗になった
