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Perfect Romance

第23章 Perfect Romance



ひとしきり泣くだけ泣いて


お互いがお互いを支えるように、フラフラと歩きながら辿り着いた部屋の中


ダイニングの椅子に座らせたかずに出す為に
コーヒーメーカーをセットしにキッチンに入った



キッチンにコーヒーの香りが広がる



「香りはいいけど、味…落ちてるかも」
前以て伝えてから、“かずの“ マグカップを棚から取り出した



久しぶりに開ける棚
暫く触る事もなかったマグカップ


久しぶりに音を立てるコーヒーメーカー



色褪せた部屋に、あかりが灯った気がして

それだけで鼻の奥が痛くなった




「俺…あんまコーヒー飲まないからさ

…減ってないんだ」


「……そうなんだ」

かずの顔が、悲しそうに歪む



「俺が飲むからって…わざわざ買ったんだよね」


「そうじゃないよ」

俯いてしまったかずの前に自分も腰掛けて
テーブルの上で手を組むかずに、そっと自分のそれを重ねた



「一緒に飲みたいから、買ったんだよ」

顔を上げたかずの目が、潤み出した

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