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キラキラ

第4章 タイセツ

なんっだ……これ。
痛いなんてもんじゃない。
腰も、アソコも、なにせ、下半身が自分のものじゃないみたいだ。

「ね。 午前中は、俺んちで休んでてよ」

のんきにいう潤に、俺は焦って首をふる。

「…いや……これヤバイ…どーしよ、俺、動けねえぞ」

目が泳ぐ。
焦りながら、しゃべってるから早口になる。
本気モードの俺に、潤もただごとじゃないと気がついたみたいだ。

「え?」

「……休んで治る気しねーんだけど」

「……マジ?」

潤も慌てて起き上がった。

「ちょっ……もう一回起きてみて」

潤に支えられて、ベッドに座るのも一苦労だ。

「……っつ………ってえ…」

顔をしかめて、体をおこす俺に、潤は苦笑いして

「……まずいね」

と、言った。


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J



翔くんの、腰は思ったより深刻だった。

とりあえず、一緒に朝御飯、と思っても、リビングまで歩くのも一苦労。
スツールなんかに座れないから、ソファに腰掛けて、隣り合って、クロワッサンを食べた。

「ごめんね……」

「……受け入れたのは、俺だろ」

しょんぼりする俺に、翔くんは、笑って首をふる。

「これ、飲んで」

翔くんが俺のために買ってきた解熱鎮痛剤が、役にたった。

「腰痛にも効くみたいだから」

「……まさか、俺も飲むなんてな」

翔くんが、苦笑しながら、水でそれを流し込んだ。



「昼に帰るから。ゆっくりしてて。マネージャーだけ連絡しといてね」

俺は、カウンターから、翔くんのスマホをとり、手渡した。

「ああ……」

うなずく翔くんは、ソファーに座ったまま出かける支度をすすめる俺を、じいっとみてる。

「なに?」

俺は、シャツのボタンをとめ、袖をまくり腕時計をつけた。

反対側の手には、バングル。

翔くんが、ふと声をかけてきた。

「そのバングル……前に俺があげたやつ?」

「………そうだよ?」

俺は、嬉しくて、腕を翔くんの目の前でふってみせた。
それは、昔、撮影のときに翔くんが、つけていたもの。気に入ったみたいで、翔くんはそれを買い取った。
細い幅の、ボリュームを押さえたデザインで、綺麗な手首の翔くんにすごく似合ってたものだ。



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