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キラキラ

第31章 イチオクノ愛


「……だって。俺はあんただと思ってるんだもん。迫られりゃ……するでしょ」


にのは、ばつが悪そうに口を尖らすけど、俺はそれどころじゃない。
慌ててにのの後ろから指をぬき、シーツでぬぐいながら、その体に覆い被さった。



「どこまで?どこまでしたの?!」

「…………知りたいの?そんなこと」



俺の剣幕に、にのはちょっと悲しそうな顔をした。
しかし、平たくいえば、にのは、騙されていた立場だ。
にのは全く悪くないわけだから、責められるいわれはない。


そうだよ……悲しませてどうする。


俺は、少し深呼吸をして、つとめて落ち着いた声を出した。


「……ごめん。質問かえるね。なんで最後までしなかったの?」


俺だと思ってる相手に求められて、体を開かなかったのは何故?
それとも、金髪が途中でやめたの?


マシンガンのようにまくしたてたい質問を、シンプルにまとめて、にのの返事をじっと待った。

すると、にのは、ふいと目をそらし、ぽつりと言った。


「……キスがね。違ったから」

「…………え……?」


俺が、虚を突かれたように目を見開くと、にのは、その潤んだ瞳で、俺を見つめた。


……キスが?



「そーいう雰囲気になるじゃん。で、キスするでしょ。でも、相葉さんの、いつものエッロイキスじゃなかったから。なんか違う人とキスしてるみたいで、嫌で……蹴った」


ぶっ。

俺は内心で吹き出した。


「……蹴ったって……」


「相葉さんらしくないのが嫌で、おまえ誰の真似してんだよ?って思ったらムカついてきて。俺から、今日は寝るって、断ったの」


「……キスが、理由?……」


「そーだよ、いつもと違うキスが嫌だったのが理由。……でも、ほんとに別人とは思わなかった」


にのは、俺の体の下で、しょんぼりとうつむいた。


え……でもさ……じゃあ……



「良かった……キスだけなんだ?」


思わず安堵のため息とともに、本音がポロリとでた。
てっきり体を触られまくったのかと……



しかし、瞬間、弾かれたように、にのが顔をあげた。
その瞳を最大限に潤ませて、抗議するように怒った顔をしてみせた。
瞬きしたら涙が、落ちそうだ。


「だけって何…!!?」

「……あ……いや」

「おまえは自分の恋人が別の野郎とキスしてもいいってのかよ?!」


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