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キラキラ

第34章 バースト9


Jun



キリのいいところにしおりをはさみ、読んでいた文庫本を閉じて、腕時計に目を走らせた。

そろそろ翔の講義が終わる時間だ。



お腹すいたな……パンケーキ食べたいって言おうかな。


斜め前の席で、女子学生が食べていたけど、フワフワで、美味しそうだった。

しょうがねーな、と笑う彼の顔を思い出しながら、俺は、氷が溶けてきてちょっと薄くなったアイスティーを、ずずっとストローで吸う。

カラン、と残った氷がグラスの中で音をたてた。



俺は、翔の大学のカフェにきていた。
一番奥の窓際の席が、待ち合わせの定位置。

帰宅部である俺の、学校が終わる時間より、翔の大学の講義が終わる時間の方が断然遅い。
一度帰って着替えても、まだ余裕がある。

だから、デートをしようと思ったら、必然的に俺が待つ側にまわることが多かった。

最初は、駅前のファーストフードなどで待っていたのだが、少しでも会える時間を稼ごうと、翔は半ば強引に、この場所を指定してきた。

大丈夫かな?と、戸惑う俺に、「学生服さえ着てなかったら見た目は大学生だ」と、太鼓判をおされ、ここ最近のデートの始まりはここである。


ちなみに、どんなやつに声をかけられても無視をしろ、と固く約束させられてる。

俺はすぐにナンパされるだろうから、というのが翔の言い分だ。

そんなわけない、と何べん言っても、聞き入れてくれないあたり……もう笑うしかない。


まぁ、そんな彼の束縛も嬉しいあたり、俺も相当、翔に惚れてんだけど。

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