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キラキラ

第34章 バースト9


何度デートしても、何度抱き合っても、翔に真正面から見つめられると、いまだに恥ずかしいし。

あの澄んだ黒い優しい瞳で、柔らかな声で……潤、と名を呼ばれただけで、心臓が破裂しそうになるのだ。
跳ぶときとは、また違った高揚感。


俺……マジ重症だよなぁ……


翔を失ったら生きていけない、とまで思うようになってる自分に、我ながらビックリだ。


「……顔にやけてるぞ」


上から甘い声がふりかかってきて、顔をあげた。

そこには、お待たせ、と、柔らかな笑顔を浮かべる翔。


「……あ、お帰り……」

「ははっ……お帰りって。じゃあ……ただいま、でいいか?」


いつものトートバッグを肩にかけた翔が、俺の頭をくしゃりとして微笑んだ。

俺の胸はとたんにドキドキとうるさくなる。

今日も相変わらず男前だ。

白シャツに黒スキニーだけで、こんなにかっこよいなんてズルいよ。


俺が、ぼんやりしてると、翔の瞳がふと心配そうな色に染まった。


「?どした?」


見惚れてた。
なんて言えるわけない。


「……ううん。なんでもないよ。お疲れ様」

「おう」


ふわりとシトラスのコロンの香りをさせながら、翔が俺の向かいの椅子をひいて座った。

ふと気づけば、講義が終わったタイミングだからか、カフェの中も少し人が増えてガヤガヤしだした。

翔は、トートバッグを傍らにおいて、小銭入れをポケットから出し、俺のトレーをちらりと見た。


「喉かわいたな……アイスコーヒー買ってくるけど……お前は?」

「あ……いい」


ふるふると首を振ると、翔は、ちょっと行ってくると歩いていった。

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