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キラキラ

第35章 屋烏之愛


興味をひかれた俺は、そっと立ち上がった。

でも、写真立てを、勝手に手に取るのは憚られ、中腰でそれをみつめる。


……かーわいい


今より若い松本がそこにいた。
髪の毛は黒く、今よりほんの少し幼い顔で笑ってる。

学生服なのは、卒業式なのだろうか。
胸に、みな揃いの黄色い花のコサージュをつけてる。

そのメンバーに見覚えがあり、思わず見入ってしまう。

松本の横で大きな口を開けて笑ってるのは、相葉。
みんなより、気持ち茶色い長髪は上田か。


「どした?なんか気になるものでもあったか」


部屋に入ってきた松本が、俺の傍に寄ってくる。


「いいえ……なんかみなさん若いな、と思って」


ほんの、二年ほど前のことなのに。
この切り取られた瞬間の彼らは、今の俺より年下なのだと思うとなんか不思議だ。


「ああ……中等部の頃からの仲だからな……こいつらとは」

「そうなんですか……」

「みんな可愛いだろ」

「はい。とっても」


流星先輩なんか、めちゃめちゃ幼い。
今は、あんな強面なのに。


「みなさん高校で、自由度が増したんですね」

「まぁな。中学が厳しかったからその反動だな。みんなその傾向があるけど……。大野くらいだ、中学からずっとあのままなのは」

「……一匹狼的な?」

「そう。最初は、この俺がちょっとビビってたからな」

「へぇ……!」


面白い!

クスクス笑ったら、松本に、笑いすぎだとこづかれた。

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