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キラキラ

第36章 バースト10

「……いや」


そんなわけないだろう、と、俺は笑う。


「あの人は昔からああだよ。鞄持つのが嫌いだから荷物は最低限。今日も替えの下着くらいしか、もってきてねぇんじゃねーの?」

「え?あれだけ?!」


潤が目を丸くして驚いた。
自分自身は誰よりも大きなリュックを背負ってるだけに、信じられないといった様子だ。

いや……でも。


「つか、逆にきくけどなんでこんなにおまえはでかいリュックなの?」


智兄や、俺はもちろん、少し離れたところに立ってるかずや、相葉くんの荷物より、全然大きい。

潤は周りを見渡して、首を傾げた。


「別に……そんなに入ってないけど。着替えと、メガネと……」


考える様が可愛いな、と思いながら相槌をうつ。


「あ、もし頭が痛くなった時用に薬と、ドライヤーと」

「……うん」


ドライヤーくらい宿にあるだろう、とか、そんな一泊二日で頭痛はしないだろう、とかツッコミたいが、黙る。


「……みんなで、道中飲めるようにサイダーと」

「…………」


飲めるように?


「お菓子も持ってきた」


得意気な潤は、胸をはってるけど。


まるっきり遠足じゃねぇか……


俺は、ふははっと笑って、潤の頭をポンポンと叩いた。

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