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キラキラ

第7章 ナチュラル


おもいっきり不機嫌な声に笑ってしまった。

………はは。冗談通じねぇやつ。

「………そんな怖い顔しなくたって、なんもしてねぇって」

俺は苦笑して、入り口の扉に肩肘ついて、斜め上から怖い目で、見下ろす松潤を振り返った。

「してんじゃん」

「芝居だよ」

「は?関係ねえし」

口を尖らせて、部屋に入ってくる潤。

こいつも、翔ちゃんのことになると、余裕なくなるやつだよなあ。

「はいはい。あとは、松潤にまかせたよ」

ここはとっとと退散だな。

俺は、ゆっくりもとの定位置のソファーにもどり、さっきまで読んでた釣り雑誌を手に取った。

翔ちゃんが、ええと………と、オロオロしてる。

おまえの恋人怒ってるぞ、怒ってるぞ。


にやにや笑ってしまいそうだけど、そんな顔みせたら、松潤の怒りの炎に油を注ぐだけだ。

翔ちゃんが、おそるおそるというように、松潤に向き合う。

「………潤?」

「なに」

「芝居だぞ」

「………あたりまえだろ……つか、そうじゃなかったら、暴れてんぞ。今頃」

はあっと、ため息をついて、松潤は、テーブルにドサッとカバンをおいた。

「………なにしてたんだよ」

「今度のドラマの話をしてただけだっての」

不機嫌な松潤に、翔ちゃんも苦笑いだ。
翔ちゃんに渡された台本を、松潤は髪をかきあげて、疑り深い表情で、パラパラとめくった。

「………ふうん」

「な」

「………これ、受けたの?」

「………だから、ここに台本があるんですけど」

「………」

「なんだよ」

戸惑う松潤を前に、今度は、翔ちゃんが不機嫌な顔をみせる。

………あ、形勢逆転?

松潤が、不安な顔で、翔ちゃんを見据えた。

だよな、だよな。
分かる。
俺も思ったもん。これまでの翔ちゃんのイメージとちょっと違うよな。

「これ………できるの?翔くん」

「………すっげー失礼な質問してんの、おまえ分かってる?」

「だって………」

松潤は、さっきの威勢はどこへやら。
逆に、翔ちゃんの立場があがってる。

でも言わんとすることは、分かるぞ。松潤。

俺は、釣り雑誌に目を走らせるふりをして、一人うんうんと頷いた。

この役、嵐でやるなら松潤くらいじゃね?ってくらいの、色男役だもんな。

こんだけのラブシーンを自分の恋人がこなしていくの見るの、芝居とはいえ結構しんどいよなあ?

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