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キラキラ

第36章 バースト10





遠慮がちに、体を揺らされる。


「…翔さん。起きて」


同時に、かずの静かな声がした。
深い眠りの底を気持ちよく揺蕩っていたところを、ぐんと引き上げられる。


「……」


ぼんやりと目を開けたら、煌々と部屋の電気がついてて。
そのまぶしさに、目をすがめた。


……?…もう、朝か?


かずが、苦笑して、俺をのぞきこんでた。


「朝だよ」

「…ん…」


すると、松岡さんが、張りのある声で、おはよう、と声をかけてきた。


元気な人だな…


「……はようございます…」


俺は、小さく返事をする。


「遅ぇな。早く仕度しろ。出るぞ」

「…え…?」


突然の指示に、状況を把握できない俺は、目を擦りながら起き上がった。
松岡さんは、セーターを着込みながら、にっと笑った。


「初日の出だよ。初日の出。全員で見に行くぞ」

「……マジですか」

「なんのために、みんなで正月に旅行にきたと思ってんだ」

「はぁ…まぁ…」



枕元においていたスマホに手を伸ばし、確認すると…六時。


俺は、枕にくたっともう一度顔を埋めた。


普通の日と、かわんねーじゃん…。


…俺、あんたらのせいでさっき、寝たような気がするんだけど…


潤とあれからしばらく風呂場で愛しあい、もう大丈夫だろうと部屋に戻ったのが4時前だった気がする。

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