テキストサイズ

キラキラ

第36章 バースト10


「ほら、起きろ」


俺は力をこめて、潤の体を起こしその場に座らせた。
潤は、うーん…と、言いながら、傾きながらもなんとか自力で座る。
乱れた浴衣の襟を整えてやり、頭を撫でる。


「…初日の出。みんなで見に行くって」

「んー…?」

「…早く着替えろ」

「んー…」


うつむいてゆらゆらしてるから、もう一度キスするぞ、と小さく囁くと、潤がピクリと体を揺らし、ゆっくりと顔をあげた。

ぼんやりしていた瞳の焦点があう。


お、やっと起きたな…。


潤は、欠伸を噛み殺しながら目を擦る。


「…今、何時…?」


さもめんどくさげに呟く潤。
不服そうなその態度に、こいつは今自分がいる場所忘れてんな、と、笑いがこみあげた。


「六時すぎだぜ。まだ浴衣なのお前らと智だけだ」


面白そうに口を挟む松岡さん。

そのとたん、潤が正気を取り戻したように振り向いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ