
キラキラ
第36章 バースト10
松岡さんは、帰りも最後まで運転することを申し出た。
智兄は、運転…交代できるよ?と、首を傾げてたけど、松岡さんは、
「いや…また雪が降ったら困るだろう?智は隣で俺の話し相手になっててくれたらいい」
と、丁重に断っていた。
よっぽど、智兄の運転に危機を感じたのだろうな。
俺は笑いをこらえるのに必死だった。
帰りの車内は、終始穏やかな静かな空気で。
松岡さんと智兄は時々会話をかわしながら、微笑みあってる。
かずは、一日遊んじゃったから、と、イヤホンを耳にリスニングの勉強を始めた。
相葉くんは、そんなかずを優しく見守ってる。
潤は、寝不足がたたり、出発早々船をこぎだした。
俺は自分の肩に、潤の頭をのせてやり、ブランケットをかけてやる。
俺も、あくびを噛み殺し、窓の外の流れる風景を見つめた。
初めてのみんなでの旅行は、予想以上にとても楽しいものだった。
潤の可愛さも再認識したし。
智兄の違う面も、久しぶりにみたし。
それぞれのパートナーを想う気持ちは、みな一緒で。
相手をいとおしく、愛する気持ちは、場所を選ばないな、と、強く感じた。
みなでみた初日の出。
あの降り注ぐ金色の光は、おそらく生涯忘れることはないだろう。
俺は幸せな気分で、目を閉じた。
この一週間後。
……智兄が失踪する。
to be continue
