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キラキラ

第36章 バースト10


まだ薄暗いなか、潤と手を繋いで歩く。
テレパスで、かずが誘導してくれて、俺たちはなんなく智兄たちのいる場所に着いた。

サクサクと、枯れ葉を踏み分けながら、近づいて行くと、タバコを吸ってる松岡さんが気がつき、手をあげた。


「…おう、来たか。すぐここが分かったか?」

「はい」

「ふふ…間に合ったね。もうすぐだよ」


相葉くんが、指さした。
そのさきは、高台の広場から真っ正面に見える山々。
その連なる山の向こうが、まばゆく金色に光っている。

暗い空が、グラデーションを描き、 徐々に明るくなっていくのが分かる。


「……綺麗だね」


潤が呟いた。

いつも何気なく俺たちを照らしてる太陽が、初日の出と名前をかえるだけで、こんなに神々しく思えるのは何故なのだろうか。

俺たちは、それぞれ身を寄せあいながら、じっと黙って、目の前の大自然の織り成す変化を見つめた。

やがて、太陽が姿をあらわすと、自然と歓声があがる。


「出た!明けましておめでとう!おまえら!」


松岡さんが、ちょっとはしゃいで俺たちを振り返った。
俺たちも、おめでとうございます!と、笑う。

俺は傍らに立つ潤を見下ろす。
太陽の光を、まぶしそうに見つめる潤は、とても綺麗だ。

俺は、繋いだ手を、きゅっと握った。
ん?というように潤が、俺を見上げる。


「…明けましておめでとう」


いいながら、かすめるようにキスをすると、潤は驚いたように目を見開き…こら、というように苦笑した。

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