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キラキラ

第37章 寵愛一身

kazu



………なんか変なんだよなぁ



俺は、松本と相葉が喋ってるのを、反対側のベンチから見ていた。


昼休みの裏庭である。

このいつもの溜まり場で、あーだこーだと語り合うのは、松本を頭とするヤンキーのグループ。

ヤンキーだけあり、金色の頭をした強面が勢揃いしている。
ここには、なぜか、イケメンが多い。
さらには、全員喧嘩が強い。

ゆえに、ここには、普通の生徒は怖がって近づいてもこない。
昼休みの裏庭は、このグループの貸し切りだった。


……ちなみに、俺はヤンキーではなくって。
位置づけは、松本の……恋人だ。

体育大会の日に、めでたく気持ちが通じて、そこから名実ともにこのグループの頭の恋人の地位にいる。

だからというわけではないけど、二年の先輩方は俺をとても可愛がってくれてて、すこぶる居心地がよい。
なので、毎日のようにここに顔を出してる。

今日も、俺の隣で、最近金髪から銀髪にしたという二年の藤井が、購買のBLTサンドのクオリティについて力説してる。
俺は、にこにこと相槌をうち、そんな藤井を見上げているが……合間に松本にチラチラと視線をやってた。


このモヤモヤとした気持ちは、なんだろう。


俺は、ここ最近の松本の行動を頭でなぞっていた。

この違和感は第三者には、絶対わからない。
俺だけがわかる、ほんとに些細なことなんだけど。

だって。
今、こうして離れているのもほんとは変なんだ。

つきあいはじめの頃は、彼は俺を傍において離さなかった。
いっそ窮屈なほど。

なのに、今は平気で離れて座ってる。

もしかして飽きられちゃったのかな……と、暗い気持ちになる。

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