キラキラ
第8章 バースト
Jun
そのチカラに気がついたのは、小学生のころだったと思う。
ガキの頃って、勉強ができなくても、足が速い男子ってのは、無条件にもてる法則があるんだよな。
そのときも、誰かが女子の前でいい格好したかったからか、
「おい、あの木の下まで競争しようぜ」
って、言い出した。
その場にいた男子、四、五人がやろうやろうと、その気になった。
正直、どうでもよかったけど、やたらと俺をライバル視するやつがいて、なんか忘れたけどムカつくこと言われたんだよな。
わかったよ、と了解して、俺もスタートラインにたつ。
女子の掛け声で、一斉にスタートしたら、なんとそいつは、俺に体当たりしてきた。
よろけた俺は、とっさに体勢をたてなおしたが、みんなから、大きく離された。
カッとした。
ふざけんな………!
体の血が逆流した。
一瞬目の前が白くなった。
クラっと何だか頭がまわった気がして。
「…………っ?」
…………気がついたら、木の下にいた。
こちらに向かって走ってくるやつらの目が点になる。
「え?潤、お前走った?」
「…………うん」
自分が一番だと思ってたやつが、納得できない顔をする。
「え、ぜってーいなかったじゃん。先回りしたんじゃねーの」
「…………してねぇし」
答えながら、自分でもわけがわからなかった。
先回りした覚えはないけど、走った記憶もなかったから。