キラキラ
第37章 寵愛一身
「ごめん、やっぱり痛いか」
俺の泣き顔を見て、慌てた松本は、すぐ指を抜いた。
……ちが……
「違う……くっ……」
意に反して、ポロポロと涙が溢れてきて困った。
怖かっただけなのに……中断されちゃった。
違うからやめないで、とお願いしたくても、嗚咽のせいで、声が出ない。
「ごめんな……される方は、最初めちゃめちゃ辛いって光一に言われてたのに」
指につけていたゴムをはずしながら、松本は眉をハの字にした。
あんなに切羽詰まった顔で、途中でやめれないって言ったくせに……俺のせいでやめさせちゃった。
そこがこの人の優しさなんだろう。
だから、自分のへなちょこな精神状態に腹が立つ。
腹が立つから、涙が出る。
悪循環だ。
「カズ……ごめん。泣くな」
松本は、開いてた俺の足を元通りにして、大きなバスタオルをかけてくれた。
いよいよこのままやめてしまいそうなその雰囲気に、俺は、いやいやと首を振る。
「違う……違うか…ら」
「カズ」
「して……お願い……やろ?」
涙を拭い、覆い被さる松本を見上げると、彼は困ったように笑った。
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