
キラキラ
第38章 バースト11
ソファーに転がされている潤がなんとかして起き上がろうとしてる。
まさしく、チカラを解き放とうとした俺は、思わずそれを引っ込めた。
「ダメだよ……!翔を怒らせてチカラを見るのが目的なんだから!」
頭を振り、ゲホゲホっと咳き込む潤をみて、俺は慌てて潤に歩み寄る。
「潤……!」
「……おや。残念」
男の残念そうな呟きに、俺はにらみ返し、潤の背中を支えた。
「……大丈夫か」
「大丈……夫。それより…落ち着いて…」
他にも何か言いたげな潤が、俺を捉える。
何かを訴えてる……?
そのとき、頭に小さな呼びかける声がした。
頭に血がのぼってたら、全く気づかなかったであろうレベルの声。
翔……さん。翔さん。聞いて……
かずだ。
はっとして潤をみたら、潤はうん、と微かに
頷いた。
俺は、全神経をそっちにスイッチした。
消え入りそうな声をひろうには、集中がいる。
わざと潤を抱き締め、気遣うふりをして、意識をそちらにもっていった。
(かずか……?)
(うん……)
(大丈夫か、おまえ)
(うん。聞いて……智さん起きてる。意識があるよ)
(え)
(呼びかけられた……今から 五分後にベッドからおりるから。潤くんと三人で跳んでって)
(……わかった)
俺は何気なく壁の時計に目を走らせた。
