
キラキラ
第38章 バースト11
「もうここで跳んじゃうね」
部屋を出てすぐ、潤は俺らを見つめ、ふーっと深呼吸した。
「頼む」
あいつらにさえ見られなければ、建物の外に出る必要はあるまい。
なにより、一刻も早く智兄をこの場から出したかった。
深呼吸を繰り返す潤は、いつになく集中を深めるのが早い。
またたくまにチカラをためてゆく。
「……っ」
繋いだ手に力がこめられる。
つられるようにぐっと目を閉じた。
心地よい浮遊感を感じた気がして。
………………
暖かな空間に戻ってきた、という感覚を、俺たちは、
「智さんっっ」
かずの叫び声で取り戻した。
かずが、大粒の涙をこぼしながら、よろけるようにこちらに駆け寄ってくる。
……無事に帰ってきた……
ホッとして、おぶっていた智兄を、ゆっくりとソファにおろしてやると、かずは、待ちかねたように智兄に飛び付いて、わんわん泣き出した。
「智さんっ……智さん!」
「ごめんな……かず……ありがとうな」
「よかっ……った」
「心配かけたな……」
「う……ん……帰って……きてくれっ……て……よかっ」
泣きじゃくるかずの背中を、智兄が優しく撫でる。
