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キラキラ

第38章 バースト11


ふと隣を見れば、潤も目が赤い。

俺は潤の手をそっととった。
潤は、ゆっくり俺を見上げて、困ったように笑った。


「……もらい泣きがすぎるかな……俺」

「そんなことない」


俺は、潤の腕をひき、抱き寄せた。
みんないる場所だから嫌がるかな、と思ったけど、潤は意外と抗わずに素直に俺に体を預けた。


……震えてる。


俺は潤を体全部で抱き締める。


怖い思いも、痛い思いもさせた。

誰よりも大切にしてるからこそ、申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、潤がいなかったら、智兄は助け出せなかった。

能力面でも。
……メンタル面でも。


柔らかな髪を撫でながら、


「……おまえがいてくれてよかった。ありがとう」


心から礼をいうと、潤はふるふると首を振って、俺にしがみついてきた。


「……翔こそ……お疲れ様」

「……ああ……」


俺は、また潤を抱き締める腕に力をこめた。


……冷静に考えると、拉致監禁という状況は、立派な警察沙汰だ。
だが、超能力という要因が、マスコミやSNSの格好の獲物になりそうで……怖くて踏み切れないでいる。


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