
キラキラ
第39章 バースト12
家族水入らずの食事会だと思っていたから、母さんの行動に純粋にビビる。
そのカホという女性は歳の頃は俺と同じくらいか、と思われた。
エレベーターに乗っても、レストランに入ってもついてくるその人に、は?と思っていたら、そのままナチュラルに5人で食事会が始まったもんだから、完全に突っ込むタイミングを逃した。
智兄も顔には出さないが、俺に誰?という視線をよこしてくる。
……遠い記憶をたぐっても、こんな人と出会った記憶なんてない。
幼なじみでもない。
どうみても初対面なのに、どうして?と思っているうちに、だんだんわかってきた食事会の目的が…エグい。
「カホちゃんはね、父さんの会社の取引先のご令嬢でね」
饒舌な母さんの言葉の半分も入ってこなくなった。
……つーか、ある意味、見合いだ、これ。
俺は愛想笑いを浮かべつつ、フォークでルッコラをつつく。
「智にピッタリだと思うのよ」
「いやだ。おばさま、そんなハッキリおっしゃったら…」
「ほんとのことよ。ねぇ智?」
話をふられた智兄は、
「ああ…うん」
と、曖昧に頷いて、愛想の欠片もない顔で肉を咀嚼してる。
