
キラキラ
第39章 バースト12
俺も、女性に変な期待をもたせないよう、智兄のようにしなきゃいけないのは頭では分かるのだが…せっかく数年ぶりに会った両親との食事まで、嫌な思い出になるのは悲しいと思った。
母さんに悪意はまったくないのは分かってる。
むしろ、智兄もいい歳だから、心配してるだけということも。
「……この肉美味いね」
俺は、ザワザワした想いの息子たちに気づいてないだろう母さんに笑顔を向けた。
「でしょう?ラムよ」
「やっぱり。この味、好きだなぁ」
「うふ。翔、好きだったもんねぇ」
天然なところのある母さんは、智兄の微妙な変化には気づかないだろう。
本格的な見合いの状態にさせるまえに、俺がなんとかしなくっちゃ。
「翔は、大学の方はどうだ?」
父さんがワイングラスに口をつけて微笑んだ。
「ん?……ああ、まぁ楽しくやってるよ」
「智は」
「うん、まぁ……ぼちぼち」
すると、また無邪気な母さんが口をはさんできた。
「ねぇねぇ、智はいい人いるの?」
「…え?」
智兄が顔をあげた。
思わず智兄と視線が交錯する。
なんて答える?
俺の目に、智兄は迷いなく頷いた。
「…………まぁ一応」
「嘘ー!!あんたいい人いるの?絶対いないと思ったのに〜!」
母さんが落胆した声をあげた。
