
キラキラ
第39章 バースト12
「どんな人?」
「どんな人って………」
智兄が困ったように眉毛をさげた。
オールバックの、いかつい男だなんていえるわけないよね。
てか、この女性の前でそれ聞く?
俺は、あわててフォローに入る。
「へー、智兄そんな人いたんだねー知らなかったなー」
「え。翔も知らなかったの?」
母さんが驚いたように俺を振り返った。
嘘は苦手だ、と思いながら棒読みで否定する。
「うん。知らない知らない。だいたい兄弟でそんな話しないよ?」
我ながらそらぞらしいと思いながら、しらばっくれた。
すると。
「そうなのー?じゃ、翔は?」
「え…」
突然、矛先がこちらに向いた。
後にして思えば、このときの軽率な俺の判断が、すべての事態を引き起こしたのだが、そのときは、母さんたちの興味は智兄にあると思い込んでいた俺は、これ以上のこの空気感の悪化を防ごうと……また、調子の良い嘘をついた。
「いないよ」
「…そう」
母さんはちょっと安心したような顔になり、笑顔で爆弾発言をした。
「カホちゃん。そしたら、翔と付き合ってみて?この子もいい子よー」
は!!?
俺は目を見開いた。
