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キラキラ

第39章 バースト12


すると、翔はいたずらっぽく笑った。


「なんか嫌な予感がしたから休んだ」

「……すご」

「お前に関してのセンサーは、ちゃんと働く」


時々失敗するけどな、と翔は鼻をこすった。
俺は、なんだか嬉しくなってにやけてしまう顔を普通にするのに苦労した。


愛されてる、と、こんなにも感じさせてくれる。
嫌な思いしたって、ザワつく胸を抱えたって、それを上回る想いで応えてくれる。


なんて素敵な恋人なんだろ。


じんわりとあたたかい心に浸ってると、翔は、腕時計を見て、うーん、と思案顔になった。


「………さて、まだ夕飯には早いし、どうせなら、デートするか」

「うん!」

「どこ行きたい?」


……………そんなの

決まってる



「ん?」

「………水族館」



翔が一瞬止まって、おいおい、と、苦笑いした。


「………実はやっぱり拗ねてた?」

「………かなりね」


いろいろあったけど。
でも普通にありえない。
俺以外の人と、しかも女の人とだなんて、そんな歴史、片っ端から上書きしてやる。


少しだけ、ツンとして翔を見つめる。


「………同じ場所?」

「当然」

「………千葉だぞ」

「跳ぶし、そんなの」


翔が今度こそ爆笑した。


「はははっ、そっか。………そんなら行くか」


俺もクスクス笑って、頷く。


この時間からの入場はむしろ空いてていいかもしれない。

海月ゆっくり見よう。
暗いし。
翔と手くらいつなげるかな。


「行こ」


俺は、翔の腕をつかんで、跳べる場所をさがすために、走り出した。



Fin.

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