キラキラ
第40章 星空に届け
………意思疎通がめんどいな。
俺は、そうだ、と、傍らのスケッチブックをひきよせ、パラパラと白紙のページを表にして、そいつの前に置いた。
「筆談」
言いながら、鉛筆も渡す。
やつは、コクリと頷き、素直にその鉛筆を手にした。
少し触れた指が、驚くほど冷たくてビビった。
俺は、コタツ布団を肩まであげながら、そうだな、と額をかいた。
「まず、名前。書いて」
言うと、やつは、コクリと頷いて、サラサラと「にのみやかずなり」と書いた。
………………初めて聞く名前だった。
俺は、また頭をかきながら、
「じゃあ、かず。どこから来た」
かずは、少し唇を引き結び、東京のとある住所を書いた。
…………………行ったこともない土地だ
俺は、頭を抱えたくなりそうになる。
「………どうして俺のことを知ってる?」
すると、かずはピクリと肩をゆらし、俺を真正面から見つめてきた。
そのみずみずしい瞳に、悲しそうな色がのったのをみて、俺はドキリとした。