キラキラ
第1章 アーモンド
J
最近、オーバーワーク気味な翔くんは、楽屋でうたた寝することが、増えた。
新聞を読んだり、ニュースをみたり、常にアンテナを張っていたのに、…ほら、今も。
「あーあ…、翔ちゃんすごいクマ」
大野さんが、苦笑しながら、そっと顔をのぞきここんでる。
ソファのひじかけに右手を預けて束の間の深い眠りにおちている翔くんは、それはそれは無防備な寝顔。
「子供みたいだね」
くすっと笑って、傍らにあった膝掛けを翔くんにかけてあげてる。
「だね」
俺も、コーヒーをすすりながら、思わず微笑んだ。
パッチリとしたアーモンド型の大きな目も、いまはふせられ、長いまつげにふちどられるだけ。
ぽってりした唇を少し開いて、すーすー寝息をたててる様は…
(…やばいな)
寝顔にまで、グッとくる自分に内心苦笑い。
いつもの、番組を仕切ってる凛々しい横顔も、真面目なキャスターの顔も、メンバー内でバカやって笑ってる顔も、…全てが好き。
最近気づいたこの思い。
ふとした時、いつもいつも翔くんを目で、おってる自分に気づいた。
かけられる声や、触れられる手にいちいちドキドキする自分に気づいた。
なんでだろう、なんなんだろう。
自問自答を繰り返し、やっと見つけた答えは、誰にも知られちゃいけない、誰にも言ってはいけないものだった。
(俺、ソッチの趣味はなかったはずなのにな…。)
気がついたら、じっと見つめていたみたいで。
「松潤、翔ちゃんに穴があくよ」
くすくす笑って大野さんが、立ち上がった。
そのタイミングで、扉が開き、馴染みのスタッフさんが顔をだす。
「大野さん、お願いします」
「ういっす」
雑誌の撮影は、今回は一人ずつ。
スケジュールの関係で、相葉くんと、ニノは、昨日終わってる。
「いってらっしゃーい…」
手をひらひらふって、大野さんを送り出すと、楽屋は、俺と寝ている翔くん、二人っきりになった。