キラキラ
第11章 sweet
O side
はむっと、大きな桜餅にかぶりつく。
桜の葉の塩味と、甘い小豆のバランスが最高だ。
最近のコンビニのスイーツのクオリティの高さといったら、本当にすごい。
この桜の葉の塩加減…………絶妙。
俺は、手にペタペタついた餅をペロリとなめて、、今度は豆大福を手に取った。
「ねえ………そんな次々食べて、気持ち悪くなんないの?」
げんなりした顔で、隣でビールを煽るのは、俺の恋人。
「全然。たくさん買ってきたんだから翔ちゃんももっと食べてよ」
ビニール袋をぐいっとおしやると、翔ちゃんは、
うえーって顔をして、首をふった。
「好きだけど………酒飲んでる時はいらねえ」
「つきあい悪いな」
「一個、食ったじゃん!」
「…………あ、これもうまい」
「聞いてる?」
「聞いてない」
もー…………と、眉をさげて笑う翔ちゃんに、俺もくすくす笑った。
豆大福………もう一個いけるな。
粉だらけになった指をチュパっと口に入れた。
深夜、ソファに寝転び、ぼんやりとしてたら、妙に寂しくなり、衝動的に翔ちゃんに電話をかけたのが、ちょうど一時間前。
まだ、起きてたよ、と笑う翔ちゃんに、突然の電話を詫びる。
「どうしたの?」と、優しく問いかけられ、黙りこむ。
こんなとき、翔ちゃんはものすごく勘がいいんだよな。
何を察したのか、「今から行っていい?」と、車を飛ばしてきてくれた。
嬉しくて、近くのコンビニに翔ちゃん用の酒や、食べ物を調達しにでかけたら、スイーツコーナーに目がいき、あれこれカゴに放り込んだら、思いの外、大量に購入してしまっていて。
「一応、アイドルだよ、智くん。太っちゃうよ、こんな時間にこんなに甘いの食べてたら」
到着した翔ちゃんに、盛大にあきれられたのだ。
「だって、俺、今日食ってねーもん、夕飯」
「……………なにしてたの?」
「なんもしてない。めんどくさくて」
ははっと、翔ちゃんが仕方ないな、という顔で笑った。
「スイーツが、夕飯か。潤あたりが聞いたら嘆くよ。自己管理しろって」
「…………たまには、いいじゃん」
俺は、豆大福の豆だけをとって、口にほおりこんだ。