テキストサイズ

キラキラ

第13章 ミチシルベ

***** ***** *****

その後、櫻井先生は、俺のことを「潤」と呼ぶようになり、俺は先生を「翔さん」と呼ぶようになった。

だけどそれはあくまで二人きりでの時のこと。

病院では、櫻井先生、松本先生、だ。


なのに、一回、薬品庫で偶然に二人きりになった時、ちょっと気を緩めてしまった俺が、櫻井先生を「翔さん」って呼んだんだ。

すれ違うように入ってきた山田先生は、何も言わなかったけど、鋭いあの先生のことだから、絶対何かを感じとっているだろうな。

怖くて、その話題には触れられない。


ちなみに、先生の顔の傷は綺麗に治った。
縫合跡も目立つことなく、完治してひと安心だ。
傷跡が変な風になったら、先生を嫁にもらうと宣言してたけど。
まあ、そんなことにならなくても、俺のものにするつもりだけどね。




「潤?」


「ん?」


「聞いてたか?」


「え」


「もう…」


翔さんが、拗ねた顔をするから俺は、ごめんごめんと笑って、その白い体を抱き寄せた。


情事のあとの、甘い時間。


ふわふわした髪の毛にキスして、ギュッと抱きしめる。
翔さんは、俺の胸にこつんと額をのせ裸の背中にそっと腕をまわしてきた。
シーツの中で、肌を密着させてると、心臓の音も一緒にトクトクとなってるようで心地いい。

いつも、険しい顔をして、チームの指揮をとってる翔さんが、俺の前でだけ、安心した素顔を見せてくれるのが、たまらなく嬉しい。


「だから…次の一緒の休みは買い物行きたいって話」


「…いいよ。どこ行く?」


俺は、翔さんの額に、チュッと唇をおとす。

翔さんは、くすぐったそうに目を細めて、柔らかく笑った。


「最近できたアウトレット……んっ…」


「………翔さん…」


俺は、額から唇にキスをおとし、そのまま首筋に舌をはわした。
翔さんが焦るように、俺から離れようとしたけど、もう無理。


「明日は仕事……っ」


「ごめん。……もう一回だけ」


「ちょ………潤……んんっ」


組敷かれた翔さんが吐息を漏らした。


「は……あっ」


…くそう…翔さん色っぽすぎる。

あと二回くらいは大丈夫かな?………。


「ばかかっ!あと一回が限界だ!」


あは。聞こえてた?

           

              end,

ストーリーメニュー

TOPTOPへ