キラキラ
第17章 🌟
男の子なのに、女の子として育てられたサトコさまは、お后さまの期待通り、それはそれは、美しい姫ぎみに成長されました。
近隣の国々の若い王子たちの間では、一目お逢いしたい姫ぎみナンバーワンだとか。
王も、サトコさまが、実はオトコだなんて、夢にも思っておりません。
さて。
今日も今日とて、自室にて、くつろがれるサトコさま。
栗色の髪をまとめあげているサトコさまの細いうなじは、透き通るように真っ白です。
髪の毛にあしらわれている宝石類がキラキラ輝いていて。
ブルーのドレスが、とてもよくお似合いです。
どこからどうみても、お美しい年頃のお姫さまにございます。
……………が。
どうやら、今日のサトコさまはご機嫌斜めのよう。
「お茶飲むだけっていったよな?!」
「……………申し上げました」
「あいつ、マジやばいって。次はやだかんね!」
「……………ですから以前より申し上げているとおり、適当にあしらっていただいたらよいのです」
「無理だよ!あのジュンってやつ、今日は俺に触ろうとしたんだぞ!」
「……………サトコさま。声が大きい」
ミヤにたしなめられて、俺は、ぷうっとふくれた顔をふいっとそむけてやった。
今日のお茶の相手は、松の国の、ジュン王子だった。
背が高くて、ゆるりとウェーブがかかった黒髪に陶器のような白い肌をした、男前。
笑うと大きな目が細められ、子供のような顔になるところは、好ましかった。
だが、いかんせん手が早かった。
甘い言葉を囁いたかと思うと、腰に手をまわしてきたから。
「おもっくそ、膝げりしてやった」
「……………」
ミヤが、はあっとため息をついた。
苦笑まじりで、肩をすくめるミヤに、腹がたつ。
なんで、そんな顔するんだよ。
触られて、俺がオトコだってばれたら、ヤバイだろうが。
「可憐な外見で、膝げりもどうかと」
そんな俺が思ってることを見透かすように、ミヤが釘をさす。
「じゃあ、なんだよ。そのまま俺が食われてよかったての?」
「そうはいっておりません」
「言ってんじゃねえか」
「……………サトコさま。落ち着いて」
ミヤが静かに笑った。