キラキラ
第17章 🌟
「とにかく。あいつとは二度とあわねえ」
「……………分かりました。そのように王に伝えます」
ふん、と鼻をならす。
国同士の交流のためだ、と分かっちゃいるが、いやなものはいやだ。
ミヤは、困ったように笑んでいる。
「よろしく」
「承知しました」
この小憎たらしいまでに落ち着いた物腰の男、ミヤは、俺の世話役。
俺がオトコだってことを、この城で知ってるのは、母上と、俺を取り上げたという侍女と、その侍女の息子であるミヤだけである。
ミヤは、俺が物心ついた頃から、ずっとそばにいて、兄妹のように育った。
ミヤの方が少しだけ年上だったが、遊ぶのも、いたずらするのも、勉強するのも常に一緒だった。
姫だと思っていた俺が、オトコだった、と知った時も、ミヤは驚いていたが、拒絶することはなく。
「…………びっくりした」
この一言だけ、だった。
年頃になり。
俺の希望により、俺の世話役という役目を、父上に仰せつかったミヤ。
俺は、これからもずっと一緒にいれる、と単純に喜んでいたが、ミヤはそれまでの俺に対する態度を180度かえ、寂しいまでに関係に線をひいた。
……………それが、俺にはつまらなくて。
「……………サトコさま」
「なんだよ」
「お茶でもいれましょうか」
落ち着きますよ、と、ミヤが、ティーポットを手にして微笑む。
「いーよ。いらない」
ブルーのドレスを乱暴にまくりあげ、俺は、ドサリとソファに座った。
「……………そうですか」
ドレスの裾の細やかな細工を眺めながら、俺は、傍らに佇むミヤに、ぽつりと言った。
遊ぼーよ、ミヤ。
つまんない。
「ねえ」
「はい」
「キスしよ」
「……………ダメです」
「いいじゃん」
「ダメです」
「けち」
「けちで結構」
ミヤは、淡々とした無表情になった。